蛇美

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「中指のツボで、心の疲れを和らげる」

最近、朝すっきり起きられない、どうにも元気が出ないあなた。その原因は、心の疲れにありませんか。第3回となる今回は、「中指」とそのルートにあって、心の疲れを和らげ、心の健康を取り戻すツボをご紹介します。

心の疲れには、「中指」のツボマッサージを

思うように仕事がうまく進まない、人間関係ですれ違いが多い。最近いらいらしてばかりだし、眠りも浅い。それは心に疲れがたまっている証拠です。そんなときに役立つのが、中指とその延長線上にあるツボです。



今回ご紹介するツボは、中指のつめの付け根、てのひら、手首、腕の前側に並んでいます(3頁参照)。中指とこれらのツボを、指全体でやさしくさすってみてください。ルート上にこわばりが感じられたり、皮膚が冷たく感じられたりする場所があれば、そこはあなたの治療点。さっそく中指先から、ツボのマッサージを開始してみましょう。


1 「中衝(ちゅうしょう)」のツボを押す
中衝のツボは、中指の親指側のつめの付け根にあり、いらいらをしずめる働きがあります。また頭痛や耳鳴りをしずめるようにも働きます。
指圧するときには、写真のように親指と人さし指ではさみ、親指のつめを立てると、ちょうど中衝のツボに当たります。刺激の強さは、ちくっとした痛みを感じる程度で行い、1秒間に1回押して1秒離す、これを左右各10回ずつ繰り返します。その後、つまんでいる指を左右に細かくひねるようにしながら、中指の付け根へともみ進んでいきます。

2 「労宮(ろうきゅう)」のツボを押す
労宮のツボは、てのひらの真ん中にあります。労宮には、高ぶる気持ちをしずめる働きがありますので、てのひらに汗をかくほど緊張したときに、労宮のツボを押すと気持ちを落ち着けることができます。また、動悸(どうき)や息切れに対しても効果的です。
てのひらに反対側の親指の腹を当て、手の甲側を4本の指で支えます。3秒押しては2秒休み、これを左右ともに5回を目安に繰り返します。
〈ツボの名前の由来1〉「労宮」
労というのは労働をあらわし、宮は宮廷、つまり中央とか重要な場所をあらわしています。労働をして手を握ったときに、中指先がてのひら中央に当たる位置にあるツボなので、「労宮」という名前がつきました。ツボを探すときは、手を握って中指先が当たった場所にとりましょう。

3 「大陵(だいりょう)」のツボを押す
大陵のツボは、てのひら側の手首のシワの中央にあります。かかるストレスに耐えきれなくなると、怒りやすくなるとか、反対に悲観的になるなど、喜怒哀楽の感情を上手にコントロールできなくなるものです。そんなときに役立つのが、大陵のツボです。
刺激するときは、手首を握るようにもち、吐く息に合わせて、2秒間押しては2秒間離し、これを左右各5回ずつ繰り返します。大陵を刺激するときには、あくまでも軽めの力で刺激するのがポイントです。

4 「げき門(げきもん)」をもみほぐす
中指のルートは、腕へとつながっています。げき門のツボは、ひじと手首の中間よりも2〜3センチ手首寄りの場所にあります。ツボを軽く押してみて、痛みやしこりを強く感じるなら、ストレスがたまっていると判断できます。
写真のようにひじ関節を軽く曲げて、腕をつかむように持ちます。そして親指先で、吐く息に合わせてゆっくりと、やや強めの力で押します。5回を目安に繰り返します。
しこりがひどい場合には、ツボを押したまま手首を左右に5〜6回回して刺激すると、ほぐれやすくなります。

5 てのひらをもみほぐす
てのひらには、足裏と同じように体中の反応点が集まっているとも言われます。労宮のツボだけでなく、左右のてのひらのつまりを日頃からほぐしておくことで、ストレスを蓄積しないようにしましょう。
両手のてのひらを合わせて指を組み、親指で反対側のてのひら全体をまんべんなく指圧します。そして、組んだ指をほどいててのひらを合わせ、こすり合わせます。てのひらが熱くなるくらいまで行いましょう。



中指は、東洋医学では「心包経(しんぽうけい)」という経絡の通り道になっています。「心包経」は、わきの下から始まって腕を通り、中指のつめの付け根まで通じるルートです。ご紹介した「中衝」「労宮」「大陵」「げき門」のツボは、いずれも「心包経」に所属しています。
「心包経」は、「心臓を包む」と書きあらわすように、心臓といっしょになって精神機能を調整する働きを担っています。中指とそのルートを刺激することで、「心包経」が整うと、いらいらなど心の疲れをとることができます。
中指のルートをほぐして心の疲れを取り除き、ストレスから身を守っていきましょう。

朝日新聞 実践身体塾 「手のツボ指圧」から

2012年08月07日