蛇美

私は今日まで生きてきました…

信頼できる催眠・心理に関する資格を見極めよう。

■ 心理に関する資格

★国家資格

精神保健福祉士
受験資格:4年制大学等で必要な各種指定科目を履修した者

言語聴覚士
受験資格:指定の養成所や大学・短大等で必要知識及び技能を修得した者

※心理に関連した国家資格は上記の2つのみ。
催眠とはまったくの無縁の資格で、他の医療スタッフとチームを組んで活動する。
実際の業務内容は心理と言うよりも、療育や福祉や言語訓練といった領域に近い。
したがって、カウンセリングや心理療法を仕事にしたい人にとっては無意味な資格である。


★法人資格

臨床心理士
実質的には心理の資格で最も有力な資格。
基本的には心理学専攻の博士課程前期または修士課程(いずれも臨床心理士指定大学院に限る)を修了した者に受験資格が与えられる。

認定心理士
「私は心理系の学部に在籍していましたよ」という証明のようなもの。
大学院レベルではないので、専門的職能資格ではない。
また、知覚心理学や動物心理学専攻であっても取得できるので心理臨床とは関係がない。
この資格をして「カウンセラー」を名乗るにはかなり無理がある。

産業カウンセラー
大学で心理学関連の科目を一定以上履修した者または協会主催の研修受講者が受験資格を持つ。
実践年数などに応じて、初級、中級、上級に分かれている。
通常、中級以上から専門的とみなされる。

臨床心理士は心理の資格では一応最高峰で、国家資格に次ぐ準公的資格という位置づけとなっています。
ただし、臨床心理士は臨床家としての最低限の能力を保証するものであり、優秀なカウンセラーであることを必ずしも保証するわけではありません。
臨床心理士でない人の中にも優秀な心理療法家はいます。
ただし、そのような人物は有力な学会などでも既に実績を残しているいわゆる「一目置かれている人」です。
一般人を相手にスクールやセミナーを開いている「先生」や開業している「先生」が優秀かどうかの保証はありません。

臨床心理士であるか、有力な学会で積極的に活動している、わかりやすく言えばこれが基準です。


学会認定(メジャーなものマイナーなものまで。
(見落としがあればご報告を・・・2005年現在)

・認定カウンセラー
・学校カウンセラー
・キャリアカウンセラー
・学校心理士
・認定催眠技能士
・臨床催眠資格
・臨床催眠指導者資格
・臨床催眠療法
・認定バイオフィードバック技能士
・自立訓練法指導資格
・認定交流分析
・家族相談士
・認定行動療法士
・認定応用心理士
・認定健康心理士
・心理リハビリテーション資格

※基本的に、それぞれを認定する学会に所属し認定基準を満たしていれば資格認定となります。
認定基準はさまざまで、比較的甘いものから非常に厳しいものまで幅広く存在しています。
催眠に関する有力な資格は、催眠技能士、臨床催眠資格、臨床催眠指導者資格のみ。
これらと名称が似た資格を発行している団体がありますが、一文字違うだけでも中身は別物なので要注意。
中にはまったく同じ名前の資格を勝手に名乗っている者もいますが、所定の学会が認定しているほうが本物です。


■ その他の催眠に関する資格

・全米○○とか米国○○という資格
(アルファベット3字で略記されることが多い)
民間の催眠療法家が持っている資格といえば、たいていこれらのアメリカ発の資格です。
その中でもABH(米国催眠療法協会)認定は圧倒的多数を占めているようです。
米国催眠療法協会は全米催眠療法協会と表記されることもありますが中身は同じです。ABHとほとんど同じAIHの資格の保有者も多いようです。

日本では、カウンセラーや心理療法家は「自称」でも開業できます。
でも、大学院も出ていないし何の資格もないという人がいきなりそれを名乗るのはさすがに無理があるし世間に信用されにくいです。
そこで、手っ取り早い肩書きのようなものが欲しくなるわけです。
数多くの民間資格はそういった人々に肩書きを提供するための資格です。

これらの民間資格は、専門的知識・技術がなくても数回〜数十回の講習を受講しただけで取得できてしまうものがほとんどです。
例えばABH認定は2日で取得可能です。
臨床心理士は取得に最短でも2年以上かかり、催眠技能士はその臨床心理士よりもさらに認定基準が厳しくなっています。
参考までに以下に臨床心理士とABH認定の資格との比較表を掲載しておきます。

資格はある程度の目安にはなりますが、絶対的な基準ではありません。
中身のない名前だけの資格がほとんどです。
そこで、多くの専門家も指摘しているとおり、「研究能力」を一つの目安としてみてはどうでしょうか。
本当に臨床能力の高い人は研究能力も高く、論文発表や学会活動にも積極的です。
一方「臨床家はとにかく現場経験こそが大事だ」と言って学術活動をないがしろにしている臨床家はたいてい臨床能力自体に問題があります。
有能な臨床家は研究者としても必ず実績を残していますし、(一般人だけではなく)専門家を相手に情報発信を行っています。

「研究などという機械的な活動より、その人の人間性や経験こそが大事だ」という意見には一理ありますが、人間性が大切だというのは心理臨床に限らず、対人サービス業全般に言える当然の前提条件です。
それに、人間性や経験が究極レベルにまで達した人間ならば名セラピストになれるかというと、そんな単純な話ではありません。
人間的に信頼できるという前提の上で、研究能力も必要だというのがここでの主張の趣旨です。

学会について補足すると、学会に所属しているだけで学会発表も学術論文も書いていないような幽霊会員は怪しいです。
学会というのは発表の場であり、オリンピックの標語のように参加することに意義があるわけではありません。
有能な臨床家として知られる人で、レフェリー論文(審査つき学術論文)を一本も載せたことのない人というのは日本には一人もいないでしょう。
(日本に限らず先進国にはまず一人もいないと考えて良いでしょう)

有名になるためにテレビに出たり本を出版したりと知名度アップのために頑張る人はいますが、知名度と能力は相関しないので注意が必要です。
毎年のように、テレビや雑誌で有名になったカウンセラーやセラピストが逮捕されています。


臨床心理士民間資格の比較

民間資格
資格名   
ABH(全米催眠療法協会)認定
ビプノセラピスト(催眠療法師)

認定団体
全米催眠療法協会             
(American Board of Hypnotherapy)

試験受験資格  
試験自体なし

取得に要する最短時間
2日

資格更新単位
1年

資格更新基準
催眠療法に関する講義を15時間受けるor催眠に関する書籍を3冊以上読む
(自己申告でも構わない)

臨床心理士
資格名   
臨床心理士

認定団体
財団法人 日本臨床心理士資格認定協会

試験受験資格  
基本的には、臨床心理士養成に関する指定大学院、臨床心理学専攻(コース・領域)を修了し、所定の要件を充たすもの

取得に要する最短時間
2年

資格更新単位
5年

資格更新基準
以下の6つのうち3項目以上にわたって15ポイント以上取得すること
(1)協会が主催する「臨床心理士のための研修会」「心の健康会議」等への参加
(2)日本臨床心理士会が主催する「全国大会」および地区または都道府県単位の当該臨床心理士会が主催して行う「研修会」等への参加
(3)協会が認める関連学会での諸活動への参加
(4)協会が認める臨床心理学に関するワークショップまたは研修会への参加
(5)協会が認めるスーパーヴァイジー経験
(6)協会が認める臨床心理学関係の研究論文の公刊及び著書の出版


・○○プラクティショナー、○○インストラクター、○○ティーチャー、〇〇マスターなど
ほとんど論外の資格。
公に認められている資格は存在するのでしょうか。
資格としての体裁さえなしていないものも多いように思います。


民間資格の注意点
なんとか協会やらなんとか研究所の認定という類の資格は数え切れないほど存在します。
それらの資格を信用する前に、認定団体や認知度・信頼度・有効性などをよく調査してみてください。
研究所や協会の類は誰でも許可なく設立できます。
玄関に「〇〇研究所」という表札でもかけておけば、その瞬間に立派な研究所のできあがりです。
資格も同様に、お金さえ出せば誰でも取れるようなものが実に多いです。
アメリカでは認知されている資格です」という資格も、実際にはアメリカでもたいして認められていないものが多いようです。


■ お金で買える博士
「医学博士」「心理学博士」「Ph.D.」という肩書きも信用できるとは限りません。
お金さえ出せば取れる博士号があります(一部の海外大学)。
俗に言う学位商法です。
「ドクター」とか「博士」と言われると信用してしまう人は要注意です。
「どこの大学で取得した学位ですか?」と聞いて答えを渋るような博士は怪しいと思って良いでしょう。
もしも答えが返ってきたら、大学名を検索すれば怪しい大学はすぐにわかります。


■ 日本における催眠に関する学会
一口に学会といっても、個人で勝手に学会と名乗っているものから、国際的な影響力をもつ学術団体までさまざまあります。
例えばタモリさんは「日本坂道学会」というのを主催しています。
これは同人サークルであって学術団体ではありません。
信頼できる団体としての学会は基本的には「日本学術会議」に登録されている団体と考えてください。
催眠では、日本催眠医学心理学会と日本臨床催眠学会がそれにあたります。

日本学術会議登録団体
・日本催眠医学心理学会
日本でもっとも伝統と権威のある催眠関連学会。
学術雑誌「催眠学研究」と「認定催眠技能士」の発行元。

・日本臨床催眠学会
学術雑誌「臨床催眠学」と「臨床催眠資格・臨床催眠指導者資格」を発行。
日本催眠医学心理学会と双璧をなす。


日本学術会議非登録団体(かなり怪しい催眠術師も混じっている)

(日本催眠臨床学会)
「臨床催眠療法士」の発行元。

(日本催眠学会)
学術雑誌「催眠と科学」の発行元。

2016年02月11日