蛇美

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【記事】1975年型日本食は健康有益性が高いことを発見

 東北大学は、9月12日、ヒト
介入試験を行い、1975年頃に食
べられていた献立の特徴を有し
た食事(1975年型日本食)と、
現代食の生体への影響を比較し
た所、1975年型日本食は、健康
有益性が高いことを見出したと
発表しました。この研究は、同
大学大学院農学研究科食品化学
分野の都築毅准教授らのグルー
プが同大学院医学系研究科公衆
衛生学分野の辻一郎教授、遠又
靖丈講師らと共同で行ったもの
です。

 日本は世界が認める長寿国で
あり、日本人の日常摂取してい
る食事である「日本食」の高い
健康有益性がその理由の一つと
考えられています。以前、研究
グループは、現代と過去の日本
食をマウスに摂取させ最も健康
有益性の高い日本食の同定を試
みたところ、1975年頃の日本食
は肥満を抑制し、加齢性疾患で
ある糖尿病、脂肪肝認知症
予防し、寿命を延伸することを
マウスを用いた動物試験で明ら
かにしています。

 そこで今回の研究では、この
1975年の日本食の特徴を明確に
し、1975年型日本食がヒトにお
いても有益な効果を発揮するか
を証明するために健常人や軽度
肥満者に与える影響を現代食と
比較・検討したということです。

 まずは1975年の日本食の特徴
を過去の研究結果をもとに明確
にしました。その特徴は、5つ
の要素に分けられた。第1は「
多様性」で、いろいろな食材を
少しずつ食べ、主菜と副菜を合
わせて3品以上ありました。第
2は「調理法」で、「煮る」、
「蒸す」、「生」を優先し、次
いで、「茹でる」、「焼く」を、
「揚げる」、「炒める」は控え
めでした。第3として、「食材」
で、大豆製品や魚介類、野菜(
漬物を含む)、果物、海藻、き
のこ、緑茶を積極的に摂取し、
卵、乳製品、肉も適度に(食べ
過ぎにならないように)摂取し
ていました。第4は「調味料」
で、出汁や発酵系調味料(醤油、
味噌、酢、みりん、お酒)を上
手く使用し、砂糖や塩の摂取量
を抑えていました。 第5は「
形式」で、一汁三菜(主食(米)、
汁物、主菜、副菜×2)を基本
として、いろいろなものを摂取
していたということです。

 この特徴を有した食事を1975
年型日本食とし、実験1として
軽度肥満者に実験2として健常
人に与える影響を現代食と比較
しました。実験1では、BMIが24
〜30の軽度肥満者で年齢20〜70
歳の被験者を現代食群30人と19
75年型日本食群30人に割り当て、
それぞれの食事を1日3食、28日
間摂取してもらい、試験期間前
後に各種パラメーターの測定を
実施しました。実験2として、B
MIが18.5〜25の健常者で年齢20
〜30歳の被験者を現代食群16人
と1975年型日本食群16人に割り
当て、それぞれの食事を1日3食、
28日間摂取してもらいました。
試験期間中に週3回、1日1時間
以上の中程度の運動を行い試験
期間前後に各種パラメーターの
測定を実施しました。

 実験1の結果、現代食群と比
べて、1975年型日本食群におい
て、BMI や体重が有意に減少し、
LDL コレステロールやヘモグロ
ビンA1c 、腹囲周囲長が、減少
傾向、HDL コレステロールが、
増加傾向を示しました。また、
実験2の結果、現代食群と比べ
て、1975年型日本食群において、
ストレスの有意な軽減と、運動
能力の有意な増加が見られたと
しています。

 この時代の日本食の特徴を、
社会に発信することにより現在
の食生活を見直す食育の一助と
なることが期待できます。また、
高齢社会にあって患者数が増加
している老化性疾患の予防に役
立つ「日本食」を世界へアピー
ルすることが期待できると、同
研究グループは述べています。

2016年10月29日