蛇美

私は今日まで生きてきました…

【ヘルスケア】「湧き上がる食欲を抑える、"秘法"をご伝授いたします」その2.

前回、フルだけフッて「よく噛んで食べると食欲はコントロールできる!」で急に終わったものだから…、アクセス数激減に加えフォロー解除するヒトまで現れてしまった。信用なくしちゃったのね、わたし...
と言うわけで、今回は、「なぜ、よく噛むと食欲がコントロールできるのか」について、少しだけアカデミックに解説しようと思います。

失恋だろうが、過食だろうが、ナチュラル・ボーン・食いしん坊さんだろうが、つい大食いをしてしまうチーム大食いさんには、実はある共通したプロセスがあります。
それは、「どうしても食べたくなってしまう」→「食べてしまう」→「止まらない」→結果大食い
という世にも恐ろしい大食いのスパイラルがそれです。
このチーム大食いの共通点であり、最大の問題点について順を追って説明いたします。

まず「どうしても食べてたくなってしまう」のはなぜなのか?!
実は、”食べる”と言う行為で、脳内でβエンドルフィンという「幸せ快感物質」のレベルが上昇することがわかっています。すなわち、”食べる”という行為は、脳にとってとってもx2”気持ちいい”行為なのです。
だ・か・ら、「忘れてしまいたいことやどうしようもない悲しみに包まれた時に」、脳はヒトに食べることを強要してしまうのです。特にチーム大食いのヒトはこの「幸せ快楽物質」の虜になってしまったといっても過言ではないのです。
まぁ〜、普通、これを断ち切るには、強い意志が必要だ!とつい考えてしまいがちですが、そんなことが不可能に近いことは、ダイエットを思い立ったことのあるヒトならみんな経験しているはずですよね。
幸せ快楽物質の呪縛を、意思だけで断ち切るには、ある意味「人間やめる」覚悟とそれをやり遂げる強靭な意志が必要かもしれません。でも、そんなモノ、誰でも持ってるモノではありません。
では、どうするか?!
これが存外簡単な方法で、幸せ快楽物質の呪縛を断ち切れたりするんです。
それは、「食べるって楽しいことばかりぢゃないんだぜぇ〜」ってしっかり世間の厳しさってものを、脳に刷り込ンぢゃえばいいんです。
そうすれば脳も無条件に「食べて、食べ疲れて眠るまで食べてぇ〜♪」とはならないのです。
結局脳って、ワガママな子供と同じだから…。
そして、脳にとってのわたしが考える世間の厳しさとは、「食べる時よく噛むこと」なのです。
食べてる時、おかあさんに「よく噛んで食べなさい!」なんて言われると、10人中9.8人までのヒトは「ったく!めんくせぇなぁ!」って思っているとかいないとか…。
やってみればわかるのですが”よく噛んで食べる”って、ホントは脳だけではなく、誰にとっても、とってもめんどくさいものです。
すなわち、食べる時に、このめんどくさい行為を完全に習慣付けることが、脳に世間の厳しさを叩き込むことになるのです。これが「どうしても食べたい」と言う強要に歯止めをかけ、幸せ幸福物質の支配から脱してゆくわけです。存外簡単でしょ?!
ただし、ここで必要以上に恐怖心を煽ったり、苦痛を伴うようなものは、『拒食症』というさらに怖い状態に陥ったりするので、やり過ぎには注意は必要です。
また、ヒトによっては、食べることによってかろうじて心の均衡を保っている場合もあります。
このような場合は、食べることだけ制限しようとせず、それに向かわせているストレスに対してもケアを同時に行う必要があります。できれば専門家の指導の下に行うのがいいと思いますけど…。

次に、なぜ「止まらない」のか?!
野生の動物は、必要以上に食べたりはしません。野生に限らず人間もある程度お腹一杯になれば自然に食欲は落ち着きます。
それは、食欲を抑制する生体防御システムが存在しているからで、その中枢となるのが脳・視床下部にある「満腹中枢」です。そしてこの「満腹中枢」は、食事により、胃壁が膨れたり、血糖値が上がったり、脂肪やタンパク質の刺激により十二指腸からホルモンが出てきたり、などの”様々な情報”を受け取り「満腹した」という情報を大脳に送り、食欲を制御しています。
では、このようなすばらしい防御システムを有しながら、なぜチーム大食いは止まらないのか?
この正解のヒントは、その食べ方にあります。
わたしを例にしてお話すれば、回転寿司を30皿食べたとしても実は40分もかかりません。
もしかしたらわたしって、チーム大食いなのかも…と疑念を抱く人がいたら、そっと胸に手を当てて考えてみてください。あなたは1時間以上大食いを続けているでしょうか?
実は、上述しましたとおり満腹中枢は、”様々な情報”を受け取り「満腹した」という判断を下しているのですが、それであるが故にその発動までにどうしても時間がかかってしまうのです。
通常、満腹中枢が働くまでには、食事を始めてから最低でも20分ぐらいはかかり、実際に食事を止めるまでには更に時間がかかると言われています。
一方、チーム大食いの大半の人は、30分もすればあらかた大食いミッションは完了、満腹中枢が作動を開始する頃には、3度目のデザートの注文が終わってたりするのです。
つまり、チーム大食いは満腹中枢が壊れているのではなく、それが作動する前に食事を終えてしまうことが恒常化して、ついその存在を軽んじる体質になってしまったと考えられるのです。
また、最近の研究により、咀嚼が脳内の結節乳頭核を刺激してヒスタミンを量産させること。そしてそのヒスタミンが満腹中枢を刺激することで満 腹感が高まることが確認されました。さらにうれしいことには、脳内のヒスタミンは内臓脂肪も減少させることもわかってきました。
ということは…、
食事の時に、「よく噛んで食べる」と言う行為は、直接満腹中枢を刺激するとともに、食事時間を引き延ばし満腹中枢が充分に活動でき、「食事を止める」と言う行為に1役も2役も担っているということになるのです。

尚、「実は、わたし5時間でも、6時間でも…、なんなら一日中だって食べ続けることができます。」なんて方がいらっしゃるなら、チーム大食いと言うより、それはむしろ大食いキョシン兵です。
満腹中枢の異常が充分考えられますので、よく噛んでゆっくり食べてる暇があったら、すぐに病院に行ってください。または大食い選手権に行ってください。

以上で、「よく噛んで食べる」ことで食欲をコントロールできるメカニズムがご理解頂けましたでしょうか?
次回は、いよいよ最終回、『よく噛んで食べるって、具体的にどうすんの?(仮)』です。

っと、ここで関西在住のKMRさんからご質問が届いています。
Qガムじゃダメなんですか?
どうせ噛むならガムだって同じだと考えるのは一般的なのかもしれません。
確かに、ガムでも噛めば、脳内の満腹中枢も刺激されるでしょう。
でも、それだけでは十分ではないのはご理解頂けましたでしょうか。
ガム噛んでも、脳に「世間の厳しさ」植えつけられないし(てか、楽しいし)、食べる時間がゆっくりになるわけでもありませんから…、これではなかなか大食いスパイラルからは抜け出し難いとわたしは思います。
というわけで、次回最終回の『よく噛んで食べるって、具体的にどうすんの?(仮)』までお待ちください。
(って、さりげなく宣伝サ)

2011年11月23日