蛇美

私は今日まで生きてきました…

【記事】「外用抗真菌薬を塗布してはいけない水虫」がある

顕微鏡検査(鏡検)を行い、確実に水虫だと診断しました。でもまだ、抗真菌薬の外用を始めてはいけません。ここでのポイントは、「外用抗真菌薬を塗布してはいけない水虫の病変がある」ということです。

外用抗真菌薬には刺激性があります。
ですから、刺激を受けやすい病変には外用することができません。
具体的に、刺激を受けやすい病変というのは、浸軟が強い病変、亀裂やびらんを伴った病変、湿疹、接触皮膚炎、二次感染などのある病変です。
いかに水虫であっても、このような合併症を伴った病変に抗真菌薬を外用すると刺激性皮膚炎を起こして悪化するおそれがあります。

そうした病変には、先にこれら合併症の治療をして、合併症の症状が消失してから、抗真菌薬の外用を開始します。
強い浸軟や亀裂、びらんには亜鉛華軟膏、湿疹や接触皮膚炎にはステロイド外用薬、二次感染には抗生物質の内服です。

実際に、ここで失敗しているケースをよく目にします。
診断まではしっかりできていたのに、焦って抗真菌薬を外用して悪化させてしまっているのです。
水虫に水虫の薬を外用して悪化するケースがあることを覚えておいてください。

もちろん、鏡検もせず、湿疹など他の疾患を水虫と考えて、抗真菌薬を外用し、刺激性皮膚炎で悪化させるなどというのは論外です。
湿疹などに抗真菌薬を塗ると確実に悪化します。実は、これもとても多いのです。
見た目で水虫と判断し、OTCの抗真菌薬を使用して、ますます悪化させて皮膚科へ来るというケースです。
夏になり、いろいろな足の症状が増え、水虫薬のCMが活発になると、このような失敗症例が増えてきます。

接触皮膚炎を合併した水虫の場合、まず行うべきことは、水虫の治療ではなく、合併症である接触皮膚炎の治療です。
接触皮膚炎の治療といえばステロイド外用薬です。そしてびらんが高度な場合、亜鉛華軟膏の重層を行います。

ちなみに、やってしまいがちなのですが、消毒は有害無益です。
消毒薬の細胞障害性でさらに悪化します。抗生物質の外用薬も無用です。
効果がないか接触皮膚炎を起こすのが関の山です。
たとえこの病変に二次感染があったとしても、消毒薬と抗生物質の外用薬は使用してはいけません。
使うなら抗生剤の内服です。
この消毒薬や抗生物質軟膏外用もよく見かける失敗です。

2012年09月17日