蛇美

私は今日まで生きてきました…

【記事】ネット上で誹謗中傷の的に、どのように対処すればいいか

日経ヘルスケア9月号●診療所経営駆け込み寺より】
ついこの前も、大塚の居酒屋さんがやり玉に挙げられてましたよね。
(ただあの件は、どっちもどっちの様相でしたが・・・)
まぁ〜治療院をやってりゃ、どうしても気になる話題です。

【質問】
 ある口コミサイトに当院の悪評が書き込まれていることを、患者さんに教えてもらいました。
内容は全くの事実無根で、悪意すら感じます。
この書き込みを放置するわけにはいかないと思いますが、どう対処すればいいでしょうか。(内科医、54歳女性)

【回答】
削除依頼にも注意が必要、専門家に初期対応の相談を
(回答者◎千鳥ヶ淵法律事務所 弁護士 富田 寛之、高橋 未紗)
インターネット上にある口コミサイトや匿名掲示板などに、患者が匿名で事実無根の悪評を書き込んだ場合、どう対応すればいいのだろうか。
こうした書き込みにいちいち反応していてはきりがないが、通院先を選ぶ際にネットの情報を参考にする人が増えている中で、あまりにもひどい書き込みを放置していると診療所の評判低下につながりかねない。
ウェブサイトの管理者には、誹謗中傷に当たる書き込みを削除する義務があり、これを行わない場合は不法行為責任を問われるという判例がある。
誹謗中傷と考えられる書き込みを見つけた場合はこれに基づき、管理者に削除を求めるのが対応の基本的な流れになる(図1)。


図 1◎誹謗中傷に当たる書き込みを見つけたときの対応の流れ

◆書き込みへの反論は絶対NG
まず、自院の悪評をつづった書き込みを見つけた際に一番してはいけないのが、自らの手でそのサイト上に反論を書き込むこと。
身に覚えのないことを書かれて思わず頭に血が上ってしまうかもしれないが、冷静になるべきだ。

いくらその反論が正しくても、誹謗中傷をされた本人が登場することで、そのリアクションを楽しむやじ馬が集まってくる。
すると、揚げ足を取ったり、挑発して反論をあおるような書き込みがさらに増える。いわゆる“炎上”状態になり、問題が大きくなってしまう。

正しい初期対応は、落ち着いてそのサイトの画面をプリントアウトすること。
これにより、いつどのような書き込みがあったのか証拠を保存できる。

次に、サイト管理者に書き込みの削除を依頼するが、そのやり方はサイトによって異なるので注意が必要だ。
管理が行き届いていて良心的なサイトであれば、すぐ削除に応じることも多いが、対応がずさんだったり、そもそも管理者が明らかでないようなサイトも多い。
また、サイトで示されたやり方通りに削除を依頼すべきでないケースもある。
例えば、有名な匿名掲示板「2ちゃんねる」では、削除依頼を専用のフォームで受け付けているが、その通りに申し込むと、削除依頼の内容が誰でも閲覧可能なページに掲載されてしまう。
それが誹謗中傷をした人の目に留まると、火に油を注ぐことになりかねない。

対応に自信がない場合は、自分の手で何とかしようとせずに、できるだけ早いうちにインターネット関連のトラブルに対応している弁護士やコンサルタントに相談することをお勧めする。
初期対応の相談であれば、30分〜1時間程度の面会でできるので、費用もそれほどかからないはずだ。

◆誹謗中傷か否かの確認が必須
書き込みの削除を依頼したり、書き込んだ相手に損害賠償を請求する場合は、そもそも書き込みの内容が誹謗中傷(法的には名誉毀損など)に当たるかどうかが重要なポイントになる。
例えば、「診療で法外な料金を請求された」「医療ミスを起こしたことがある」などの書き込みで、明らかに事実に反している場合は、名誉毀損だと判断でき削除の対象となる。
「ヤブ医者」「金の亡者」「悪徳医師」といった悪口が書き込まれた場合も、その書き込みが事実かどうかに関係なく、誹謗中傷による名誉毀損として、削除の対象になり得る。
書き込みが悪質であれば、サイト管理者が削除依頼に応じる可能性は高い。

一方、「不快な思いをした」「待ち時間が長かった」などの個人的な感情に基づくものだと、誹謗中傷とは判断できず、削除の対象になりにくいと考えていい。

名誉毀損に該当するにもかかわらず、サイト管理者が書き込みを削除対象と判断しなかったり、管理者の対応がずさんで削除しない場合は、削除を求めての訴訟も選択肢となる。
流れとしては、まず裁判所による書き込み削除の仮処分命令を申し立てる。
仮処分命令が出ても管理者が従わない場合は、相手方に対して金銭の支払いを命じるなど強制的な措置の一つである「間接強制」を申し立てることも考慮する。

◆個人の特定は専門家に相談を
誹謗中傷の書き込みによって患者数が激減するなど、重大な被害を受けた場合は、書き込みをした相手に損害賠償を請求する手もある。
ただ、相手が匿名で書き込んだ場合は、まず個人を特定しなくてはならない。
個人を特定するためには、口コミサイトなどの管理者にIPアドレス(ネットワーク上の機器を識別する番号)を開示してもらう必要がある。
その上で、ネットプロバイダーにIPアドレスを照会して、契約者の個人情報を得るという流れだ。
ただし、サイト管理者やプロバイダーに個人情報を開示してもらうのは、書き込みの削除よりも数段ハードルが高いと考えていいだろう。
そのため、個人を特定するには、頻繁に悪評を書き込むなど悪質なケースで、明らかに事実無根であると証明できるなど、しっかりとした裏付けが必要になることが多い。
また、当事者がインターネットカフェから書き込んでいるケースなどでは、個人の特定が困難になることもある。
サイトによってはIPアドレスに関する情報を一定期間しか保管していないところもあるので、個人を特定したい場合は早めに専門家に相談するといい。

【まとめ】
★ 悪質な書き込みには反論しない
不特定多数の目に留まる掲示板などでは、誹謗中傷をされた人のリアクションを楽しむやじ馬がさらに書き込みをして、問題が大きくなる

★ 初期対応は専門家に相談を
サイトによって、書き込みの削除のために講じるべき手段が異なる。自信がなければ専門家に初期対応を相談した方がいい

★ 書き込みが誹謗中傷に当たるか否かもポイントに
個人的な感情に基づく書き込みの場合は、削除が難しいこともある。書き込みが誹謗中傷に当たるかどうかの確認は必須

2012年09月21日 11:10