蛇美

私は今日まで生きてきました…

【ゴミ】宝くじ

わが家系には…
自己破滅的行動に向かってしまう遺伝子が存在している。
事実、身を滅ぼし、一家が離散し、一族を存続の危機に晒す…
そんな放蕩の限りを尽くす親類・縁者の例を挙げれば枚挙に暇がない。

そんな訳で、我が血族にはある種の戒めというものが存在してて、
それを順守することで何とか自己破壊志向型遺伝子に争い、
血筋をつないできたっていう黒歴史がある(らしい)。

その戒めというのは、
・酒に溺れるべからず
・色恋に走るべからず
・賭け事にふけるべからず
っていう「3べからず」なんだけど
どこかで聞いたようなありふれたキャッチフレーズなんだよね。
でも「ありふれている」というものは、
ある意味世の中の核心をついてる場合も多いのかもしれない。

ただ、うちの先祖も結構話せるタイプだったのか、
あるいは、「自衛隊の如く」伝承するうちに
各々が自分勝手に都合よく曲解しちゃったためなのか…
「まぁ〜、とりあえず3つ揃わなきゃいいんじゃね?!」

って、「3秒以内だから大丈夫!」みたいに
なんとも胡散臭い緩い掟に変貌してしまっていたんだけどさ。

それでも、この「戒め」を幼少のころからことある毎に
説き聞かせることを両親は忘れてなかった。

そんなこんなで…
わたしも色んな人生の泥をかぶったりしちゃって、
「ヤッパ、あの戒め3つ破ると死んじゃうかもしんないわ」
って、10代の終わり頃にはすっかり洗脳されちまってた。

ただ、すでに「酒に溺れ」「色恋に身を持ち崩し」
完全にやさぐれてしまっていた当時のわたしには…
「賭け事はダメ」しか選択枝が残っていなかったんだよね。

以来、競馬・競輪・ボート・オートレース公営ギャンブルはもちろん、
パチンコ・スロット・麻雀・コイコイ・チンチロリンといったポピューラーなものから、
ポーカーゲーム・野球賭博バカラ賭博のようなディープなものまで…
更には「次のAKB総選挙で誰がセンターになるか賭けない?」といったどーでもいいようなものも含め
あれやこれやみんなひっくるめて
全てやってこなかったんだ。
いや例えやったとしても、
ベタ降り・やる気なし的な関わり合いしか
持たないよう心掛けてきたわけです。
…それは、「宝くじ」も例外ではなかったはずであったんだけどさ

気がつけば…
もはや宝くじ地獄にどっぷり頭まで浸かり切ってしまってます、わたし。

その地獄に落ちる最初のきっかけは…
まだちゃんと会社勤めをしていた「堅気」の頃だった。
通勤途中に小さな宝くじ売り場があって
そこでいきなり…
高額当選を引き当てる鮮明なイメージが突然頭に浮かんじゃったんだ。
そんな経験は一度もなかった。

でも、例の戒めが毒親の呪縛のようにわたしを縛り付けてたわけ。
結局、何事もなくその場を立ち去ったんだけど…

2週間後、その宝くじ売り場に
「この売り場から、1等前後賞当たり券出ました!」
の幟が立っていたのには、さすが驚いたよね。

でも、よく考えたら…
不治の皮膚病に罹患し、
その時すでに「色恋の道」は断たれていた…
すなわち、
あのお告げがあった時には
「賭博解禁」フラッグが既におっ立っていた…
それに気づいちゃった時の
あの「悔恨」の念は、幟の驚きなんかの比じゃなかったお!

あの時…
宝くじ買っていれば、当たっていたかもしれない。
いや、120%当たってたはず!!
…あぁ、わたしってバカだ!!
もう二度とこんな失敗を繰り返しちゃーいけない!!
次は必ず掴む!当選くじを!

って、強く強く心に誓ったわたしだった。

だからって、
いきなり色んな賭け事に身を投じるようなことはしなかった。
今更、賭け事若葉マークのわたしが
いきったところで大成するはずもないからね。

たが、それから数年後…
再び幸運の女神が…唐突に降臨したんだ!!
場所は池袋駅東口の宝くじ売り場。
例の「宝くじ当選イメージ」が再び舞い降りてきたんですよ。
〜あの日あの時あの場所で〜
小田和正の歌声がわたしにははっきり聞こえてた。

わたしは、すかさず目の前の「夢見る長蛇の列」の後ろに並んだよ。
もう迷いはなかった!

迷いはなかったけど…
問題があった!
宝くじって買ったことない!
買い方とかわかんねぇー!!」

発券のおねーさんの前で、
切羽詰まったわたしには、
前に買った人と同じセリフを
オウムのように繰り返すことしかできなかった…

「つづき10枚、バラ10枚」

「6000円です」

でぇwwwww!!! ろくしぇんえん!!
えっと…財布には…
野口のおっちゃんが、1,2,3…6人 
残りが278円。
ギリじゃーん!!!

その日が、突然の宝くじデビューだったわたしは、
宝くじの買い方どころか、
それが幾らなのかすら知る由はなかったんだよ。

だが、もはやわたしに後退はない!

フリーターという名の底辺にまで転がり落ちていた
その頃のわたしにとって、
大枚¥6,000の出費は生命の危機を意味するものであったけれど…
もー掴んだ女神の後ろ髪を離す気などさらさらはなかった。

で、結果は…、
生命の危機と引き換えに手に入れた宝くじ20枚のうち、
5枚が当たってた。
額にして4万円近く…だったと思う

それでも、わたしは失望に打ちひしがれていた。
なにしろ高額当選を信じて疑っていなかったから…
たった…4万円って
これじゃ一生遊んで暮らせないじゃーん!
って、マジで落ち込んでいた。

でも、コレがどんだけ奇跡的な快挙であるかを、
その後、友人から耳にタコができるまで聞かされることになる。
そして、そのお説教のお礼として、獲得賞金の大半をむしり取られてしまった。

それでも、この友人たちの非道をわたしは全然気にしていなかった。
てか、むしろ
「わたしってスゲーじゃん…ヤッパ持ってるわwww」
なんて浮かれた気持ちで、いつまでもいつまでもお花畑を飛び回っていた。
すぐに高額当選が当たるという根拠にない自信に酔いしれていたのだった。

これが…
この絵に描いたようなビギナーズラックが…
わたしの「宝くじ」無間地獄の始まりだった。
もう、あれから何年経ってしまったのだろう。

どんなに貧乏してても
ジャンボ宝くじを買わなかったことは…
1度もない。

だがしかし、
もうイメージが降りてはこない。
ロン毛の女神(ポニーテール可)にも
二度と出会っていない。

宝くじにつぎ込んだお金は…
総額で幾らになってることだろう???
死にたくなるので…想像すらしたくない。
100円以上の当たりくじを引いたことは
あれ以来1度としてないのだから…

なんでも1等前後賞を合わせて当選する確率は…
1/200万らしい。
これは、隕石にぶち当たって死ぬ確率にも等しいという。

しかし、わたしは懲りずに年末ジャンボを買い続けるんだろう…な。
1/200万って言ったってさ、
カルロスゴーンさんの年収みたいで
規模が大きすぎて全然実感がわかないじゃん。

確かに、当選確率が
限りなく0に近いかもしんないけど…
0ではない(はずだ)!
事実200人くらいは1等当選している(はずだ)!

宝くじ買わなきゃ…
大金をせしめるの可能性は0のまま…
この貧乏地獄からは
もう二度と浮かび上がることもできないだろう…
そのことだけはしっかり分かっている。

とにかく、宝くじを!

夢を買う?!
笑わせるんじゃーありません!
わたしは命を削って明日を買ってるの!

…もし当たらなければ、
近い将来、寒い公園のベンチで
最後のマッチをこう…擦っちゃってさ

「燃えたよ、燃え尽きた…」

なーんてつぶやいて、
真っ白い灰になって…
パトラッシュと一緒に天使に導かれることもなく
放蕩の限りを尽くした親類・縁者たちの待つ
モノホンの地獄へと真っ逆さまに堕ちていくに違いない!
いやそうに決まっている!

やっぱ、家訓とか親の教えは…
意外に正しいかもしれない!
いや、「不治の病にかかった者はこれを除く」
って除外条項を入れるべきだよね!
なーんて思いを心の隅に押し込めて
また、女神の後ろ髪をつかむその日までの
宝くじ無間地獄。

買っても地獄…
買わなくても地獄
生きても地獄
死んでも地獄

右を見ても左を見ても…
もうわたしには地獄しか見えない



年末ジャンボは確率的に損なのに、なぜ人は買ってしまうのか | 重要ニュース解説「今を読む」
https://diamond.jp/articles/-/186427?page=4

2018年11月23日 23:53