蛇美

私は今日まで生きてきました…

【与太話】アレルギー

コレも、昔聞いた与太話です。


アレルギーで高名なお医者様のところへ一人の婦人が尋ねてきた。
なんでもコーヒーを飲むと左目が痛くなるという。
「いろんな先生に診てもらって、もういくつもお薬を処方してもらったんですけど・・・、だめなんです。もうわたしは一生コーヒーは飲めないのでしょうか???」
婦人はもう疲れ果てているように見えた。

医者は、婦人を一通り検査をし、結果の出る1週間後にまた来院してもらうこととした。
「とりあえず、その間はコーヒーは飲まないようにお願いします。大丈夫ですよ。キット治してみせますから・・・」
帰りがけに声をかけてみたが、婦人は”よろしくお願いします"とだけ言い残し力なく去っていった。
それから医者は、あらゆる専門書、世界中の学会報告をくまなく調べたが、婦人が訴えるような『コーヒーを一口飲むだけで左目が痛くなる』という症例を見つけることはできなかった。

・・・1週間後、婦人は病室に現れるなり「どうでした?」と医者に詰め寄ってきた。
「ええ、まぁ〜、検査結果には異常はみられませんでした。それで、いろいろ調べてみたのですが・・・、奥さんの症例は世界でもまだ報告されていないレアケースでして・・・」
ついに医者は口ごもってしまった。
婦人は、見る見る落胆の表情が広がり、今にも泣き出してしまいそうになった。

「でもまぁ、大丈夫です。せっかくいらしたのですから。どうでしょう、わたしの前で実際にコーヒーを飲んでみてはいただけないでしょうか?」
他に手はないを思い、医者は急いで看護婦にコーヒーを用意させた。
「普段と同じように・・・、そうそう、普通に飲んでみてください。」

婦人は出されたコーヒーに砂糖を二杯入れ、スプーンでゆっくりかき回しながら、不安そうに医者を見上げるのだった。
「先生、ホントに大丈夫でしょうか?」
「わたしが見てますから、大丈夫です。さぁ、どうぞ。」

婦人は不安な表情のまま、ゆっくりとカップを口に運うろした瞬間、
「痛い!先生やっぱり左目が痛いですぅ〜」
婦人は突然叫んで、その場に突っ伏してしまった。


心配そうに近寄りながら医者は優しく声をかけた。
「奥さん原因がわかりました。もう、大丈夫です・・・」
「ホントに???」
左目を押さえながら婦人が医者を見あげると、神妙な顔つきで医者がゆっくりこう言うのだった。。

「今度から、コーヒーを飲む時は、スプーンをカップから出してください。」


ジャンジャン♪

2011年09月07日 21:18