蛇美

私は今日まで生きてきました…

【寝物語】「かちかち山」

寝る前に、怖い思いをしたり、暴力的なシーを見たりすると、「悪夢」を見るという。
さぁ、極上の悪夢をどうぞ・・・


昔ある所に畑を耕して生活している老夫婦がいた。

老夫婦の畑には毎日、性悪なタヌキがやってきて不作を望むような囃子歌を歌う上に、せっかくまいた種や芋をほじくり返して食べてしまっていた。業を煮やした翁はやっとのことで罠でタヌキを捕まえる。

翁は、媼に狸汁にするように言って畑仕事に向かった。タヌキは「もう悪さはしない、家事を手伝う」と言って媼を騙し、縄を解かせて自由になるとそのまま老婆を杵で撲殺し、その上で媼の肉を鍋に入れて煮込み、「婆汁」を作る。そしてタヌキは媼に化けると、帰ってきた翁にタヌキ汁と称して婆汁を食べさせ、それを見届けると嘲り笑って山に帰った。翁は追いかけたがタヌキに逃げられてしまった。

翁は近くの山に住む仲良しのウサギに相談する。「仇をとりたいが、自分には、かないそうもない」と。 事の顛末を聞いたウサギはタヌキ成敗に出かけた。まず、ウサギは金儲けを口実にタヌキを柴刈りに誘う。その帰り道、ウサギはタヌキの後ろを歩き、タヌキの背負った薪に火打ち石で火を付ける。火打ち道具の打ち合わさる「かちかち」という音を不思議に思ったタヌキがウサギに尋ねると、ウサギは「ここはかちかち山だから、かちかち鳥が鳴いている」と答え、結果、タヌキは背中に火傷を負うこととなった。後日、ウサギはタヌキに良く効く薬だと称して芥子(もしくはタデの汁)を渡す。これを塗ったタヌキは更なる痛みに散々苦しむこととなった。タヌキの火傷が治ると、最後にウサギはタヌキの食い意地を利用して漁に誘い出した。ウサギは木の船と一回り大きな泥の船を用意し、思っていた通り欲張りなタヌキが「たくさん魚が乗せられる」と泥の船を選ぶと、自身は木の船に乗った。沖へ出てしばらく立つと泥の船は溶けて沈んでしまい、タヌキは溺れて死に、こうしてウサギは媼の仇を討ったのでした。

2011年11月30日 01:24