蛇美

私は今日まで生きてきました…

【雑感】「昨日起こった事件・・・」

実は、この2月から、調剤薬局というところに勤務しているが、昨日ちょっとした事件がおきた。

薬局の前の道路は商店街のブロック舗装になっているのだけれど、そのちょっとした段差に引っかかって、おばあちゃんが乗っていた車椅子からずり落ちてしまった。
付き添いのおじいちゃんもびっくりしてオロオロ・・・、
そこに、
「大丈夫ですかぁ〜?!」
言うが早いか、事務の男の子が駆け寄って行った時、薬局内にいた人からどよめきとともに歓声が上がった。
悟空だ!絶対的ピンチに現れ危機を救ってくれる、まさにあの悟空だ!

・・・彼ならきっと何とかしてくれる。

わたしたちの期待とプレッシャーを一身に背負った彼は、おばあさんを車椅子に乗せようと車椅子越しに後ろから難なく引き上げた。
”あぁ〜よかった”とその場の空気が緩んだ瞬間、本当の惨事が起きてしまった。

どこがどうひっかっかってしまったのか、なんと!?おばあさんの穿いていたパンツが膝までずり下がっていたのだ。
当然、都合よくモザイクがかかるはずもなく、むき出しになったおばあさんの下半身を目の当たりにした悟空は、「手を離す」というやってはいけないミスを重ねてしまった。
手を離されたおばあさんは力なくズルズルとずり下がり、むき出しの下半身のままあられもないセクシーM字ポーズを公衆にさらされてしまう羽目に・・・

おぃぃぃぃっ悟空!、それマジやばいから!それやったらミスターサタンだから!!!

期待が大きかった分、みんなの落胆は非常なものであった。
彼にもそれが十分に伝わったのか、必死に謝るばかりで身体の方は硬直していた。

結局、おばあさんに着ていた白衣をかけ、手際よく処理した「わたし」の行動でその場は事なきを得たのであった。(自慢エッヘン!)
(※鍼灸の修行時代、鍼はまったく打たせてもらえなかったけど、お掃除と患者さんの車椅子からベットへの移し変えは毎回させられていたんだ、わたし。人呼んで雑用王!だったのだ!)

事を終え、満面の「ドヤ顔」のわたしとは対称的に、その場の空気はズンと重かった。
おじいさんは無言だし、我がミスターサタンは硬直したままだった。目にはうっすら光るものも・・・。

−いいんだお。誰が何と言おうと、わたしはあなたの勇気と行動力を尊敬するお。
−立派だった。ホントに立派だったお ヾ(´ω`=)
わたしは、心の中で彼にそっとツイットした。

すると、おばあさんがなんともかわいい笑顔で、しわをさらにクシャクシャにして、
「若い人にはチョット刺激的だったかね。」フェフェフェフェ

その一言で、場の雰囲気は一転。
なんともほっこりするような、笑顔であふれたのでした。
(・・・ばあさん、アンタすご過ぎだぞ!!!)
おじいさんも笑顔で「ありがとうございました」と言い残し、ゆっくりおばあさんを押して帰っていかれました。



老老介護問題が言われて久しい現在、テレビでは「家族内孤独死」というニュースまで流されている。
あの老夫婦にとって、生活を送ることは困難なことの方が多いかもしれない・・・。
でも、暗くなる気持ちが、ほんの一瞬、あのしわくちゃの笑顔と台詞で救われたような気持ちだった。

2012年02月22日 11:55