蛇美

私は今日まで生きてきました…

【ゴミ】「占い依存症」

連日、芸能人が引き起こしている家賃滞納問題がテレビで報じられている。
何でもこの芸能人は、占い師にマインドコントロールされているという。
(余談ですが、わたしの中でこの占い師と、今同時進行で話題になっている結婚詐欺・連続不審死事件の木嶋被告がどうしてもキャラがかぶって仕方ありません。)
とても、ものめずらしく奇異な事件として、みんなも興味津津なのかもしれない。

にしても・・・、あれ?!
これ、なんかデジャヴのような感じがする。
そうか、以前「ザ・世界仰天ニュース」でやっていた「占い依存症」の女性を思い出すまでにそんなに時間はかからなかった。
確か、その番組では、何度も占い師にハマリ、霊感商法やら何やかやで堕ちてゆくイギリスの女性の実例を再現ドラマ交えて放送してたっけ。
結局、結末は・・・??? わたしが覚えていないところを見ると、きっとその彼女は立ち直って幸せになったに違いない。
なにやら、今回の芸能人のケースとかなり似ている。
そして、その番組で覚えた言葉が「占い依存症」。

で、今改めてこの言葉でネットをくぐってみると・・・、
ありました!ウィキに。
「占い依存症は、短い期間に何度も占いを繰り返し、その繰り返しから抜け出せない状態。有料の占いを繰り返す場合は、そのために多額の借金をしたり、占いの料金を踏み倒して占い師(占い会社)との間にトラブルを起こす例もある。「占いジプシー」とも類似した特徴を持つ。」
のだそうだ。
さらに、その特徴として、
「・・・占い依存症の原因になりやすい状態としては、心理的抑圧を抱えている、何らかの精神障害や情緒不安定である、精神的に自立し切れていない、不安/想像と現実の区別がついていない、現実を見る意志がない、他人に選択・判断の保証を求める(或いは全てをゆだねる)、絶対的な運命論を信じている、問題解決の代行を要求する、物事が自分の思い通りにならないことに腹を立てている、他人の立場に立つことを拒否する、他人を道具にしたがる・・・」

読んでいて愕然とした。
急に苦い思い出がフラッシュバックしてきた・・・

わたしは、あることから鍼灸師を志し、仕事を辞め、鍼灸の世界に飛び込んだのだが、いざ鍼灸師になっても、”治せる自信がない、技術・経験もない”そんな不安な状態であった。
という訳で、鍼灸学校の先生に紹介され、ある鍼の先生の勉強会に参加させていただくことになった。
その先生は、鍼の技術はもちろん、人格的にも大変立派な方で、多くのお弟子さんもいらっしゃり、そして大変な実力者でもあった。
さらに、新しい技術、治療法なども固定概念に縛られることなく常に研鑽されておられた。
わたしは、そんな先生の元で修行できることがうれしくて、どんどん傾倒していった。

ある時、先生が以前から研究されていた治療法を紹介して下さった。
それは、銅線でつないだ磁石を使って行うまったく新しい治療法で、とある人が考案したものだという。
わたしは、ソッコーでその方の本も買い、自分でもいろいろ調べた。
ハンズやドラッグストアにも出かけ、いろいろ買い揃えた。
『これで治せる治療家になれるかもしれない!』
その思いで、金も時間も惜しまずつぎ込んだ。
そして、初めてその治療を友人に施した時のこと、嬉々として試したものの、期待したほどの効果は得られない。(多分、わたしに何か問題があったに違いないのだが・・・、それが何かもわからない。)
落ち込むわたしを見て、友人がボソッとつぶやいた。
「・・・そもそもさ、磁石を銅線でつないで何が伝わるわけ?!」
「それは・・・」
何度も繰り返し本を読み、理解したつもりであったが・・・
わたしは何も答えることができなかった。
もしかしたら、わたしは何も理解していなかったのかもしれない。不安が心をよぎってゆく。
それから友人の素朴な質問は、わたしの本質的な疑問に変わっていった。

しばらくして、先生がその治療の考案者の方を招き、講演会を催された。
わたしを含めた先生のお弟子さんを中心とした内々の講演会ではあったが、それでも100名近くの人が集まり大盛況だった。
公演の終わりに、「何かこれについてご質問は?!」と考案者の方が仰ったので、わたしは即座に質問した。
「わたしは先生のご提唱されている方法を早速試させていただきましたが、未熟なためかなかなかうまく結果が出せません。で、先日、患者さんから『磁石を銅線でつなぐ意味』を尋ねられたのですが、それにも答えることができませんでした。これは一体・・・」
「おい、お前!お前は鍼灸師になって何年だ?!」
わたしの質問は壇上で見る見る真っ赤になっていく講演者の方の鋭い質問で遮られてしまった。
「・・・ハイ、まだ半年ですが」
「はぁ?!まだ、ひよっ子か?!お前は何もわかっとらんな!お前は駄目だ!」
・・・キット、「気」のことを仰ってるんだな。
なんとなく答えを見つけた気もして恐縮するわたしとは対照的に、壇上のその方の怒りはさらにエスカレートしていった。
「お前なんかにとやかく言われる治療法ではないのだ、コレは!お前にこの講演を聴く資格はない!とっとと出て行け!!」
怒りのあまりわなわなと震える講演者が、リングサイドでガナリ立てる一昔前のプロレスラーのようにも思えた。その横で主催者である先生は真っ青に立ち尽くしているのがとても印象的だったが・・・・
結局、わたしは、「納得できる答え」はおろか、いかなる弁明・謝罪の言葉を云う機会さえ与えられず、兄弟子姉さん弟子に両側から肩を抱かれて、捕らえられた宇宙人のように、即座に会場から連れ出されてしまった。
そして、コレを機に先生のところへも出入り禁止となり、ある意味、わたしは業界の有名人になってしまった。

・・・うううぅ、思い出したくもないのに。
ついでに補足すると、大手医療磁石メーカーで大々的に進められていると自慢されていたこの治療法の新商品は、もう何年も経っているのに未だ世に出ていない。(駆け出しの鍼灸師にちゃんと説明できないものを、一般企業の担当者に納得させるのはとても困難なのかもしれない・・・わたしの推測だけど)
そして、鍼の先生もこの治療法は、数ある治療法のひとつということでそれ以上の発展はその後なかったとのこと。

まぁ〜、だからといって、わたしが許されたわけではないんだけど・・・ね。

今、冷静にあのことを考えてみると・・・、
あの場にいたみんなが、それぞれの立場で、それぞれに「依存状態」にあったのかもしれない・・・と思う。
そんな思いで、また改めてウィキの「占い依存症」を読み返してみる。

・・・すると、
医者の言うことが信じられず医療機関をジプシーのように彷徨う患者。
「働いたら負け!」と平気で言い放つニート
周りの反対に一切耳を傾けようともしない不倫女。
批判した新聞社に大人気ない対応をしてしまう大臣。
安定剤や眠剤と一緒にお酒お飲むかまってチャン。
言い訳ばかりして周りに迷惑をかけ続ける無能な上司。
健康番組で紹介されたものを疑いもなく買い漁るおばさん。
愛や夢ばかり語り、実質ダニの様に人の生き血を吸い続ける男。
惚れた方が負けなんてウソぶく姉さん。
お金のためとか云ってパンツまで平気で見せるくせに、リスカ瀉血を繰り返す少女たち。
その場の雰囲気で冷静な判断をやめてしまう偽善者
・・・・


話題になっている女性占い師やその家族はある意味普通じゃないのかもしれないけど、女性芸人の方は特別なんかじゃない!・・・かも。
(とは言え、そんな普通じゃない占い師的なヒトも、木嶋容疑者のように、ある意味探せばイロイロにいたりするのかもしれないけどね)

ホントに、結構、普通にわたしたちの周りに友人・知人、よく見かけるヒトとして存在してるな。
・・・依存症予備軍。
もしかしたら、普通にみんな何かに依存して、みんなそれを当たり前に利用しているのかもしれない。
そして、わたしも・・・。

2012年02月26日 20:12