蛇美

私は今日まで生きてきました…

【寝物語】「波を数える男」

前回の【寝物語】「ナイチンゲールとバラ」は、
あまりにも後味が悪過ぎるwwww!と不評でした。
※こちら→ http://mixi.at/absUXWD

というわけで、今回は基本路線であるイソップ童話
再チャレンジです。

『波を数える男』

ある男が浜辺に座って、
打ち寄せる波の数を一つ残らず
数えようとしていました。


しかし、何度やってもうまくいかないので、
男は、自己嫌悪に陥り、
ひどく悲しんでしまいました。
そこに一匹のキツネがやって来て、
男にこう言いました。
「ねぇ、どうして終わってしまったことに
こだわっているの?
いつまでそうやっていても
過去は変えられないよ。
気を取り直して、
今からもう一度数えなおせば
いいんですよ♪」
すると、男はキツネの言葉に勇気付けられ、
再び波を数え始めました。

とまぁ〜、こんなお話なんですがね。

『海の波って、数え間違えたって、
なくなるものじゃないよね。
だからさ、チョットぐらい数え間違ったって、
全然たいしたことないじゃないの。
いつまでもクヨクヨしたって、
何にもなりゃしないじゃない。
そうさ、
またやり直せばいいだけじゃないか!!
大体さ、自分で悩んでいるより、
この世の中、大抵のことは
やり直しがきくもんなんだからさ。』
なぁ〜んて感じで、ホント結構多くの人たちが、
「過去の失敗にこだわらず、あきらめないで何度でも挑戦し続けることの大切さ」
をこの逸話からポジティブに汲み取っているようです。

ホントに!なんていい奴なんだろうね、このキツネは。
この世知辛い世の中で、こんなイイこと言ってくれる奴は、
そうはいないよね。

んなぁあなたが大好きだぁ♪
こんなぁ友達が欲しかったぁ♪


「今度さ。お酒でも飲みながらゆっくり話そうよ。
ちょっとイイ感じの店知ってんだ、あたし。
約束だお!」
って、つい誘いたくなる気持ちも湧いてきちゃいそうです。

でも・・・
ヤッパ、わたしの場合、このキツネはパスだね。
確かに、わたしは性格が捻じ曲がってるし、
友達だってほとんどいない、変わり者なんだけど・・・
そんなの関係なく、このキツネはパスです。
だって・・・
こいつ、ヤバイよ!」って、
囁くんだよね、わたしのゴーストが。(素子風)

なぜって?!
よく考えてみてよ。
どんな事情か知んないけどさ、
ず〜っと波を数えてるんだよ!
大の男が、それ出来ないって
落ち込んでんだよ。
・・・浜辺にたった一人で。
どう考えても普通じゃないでしょ、これって。

わたしなら、まずこんな人に近づかないよね。
絶対!5m圏内には、入んない!
いや、百歩譲って話しかけたとしても・・・
「おじさん、大丈夫?!」とか
「日陰に入って水分補給しないと・・・、
熱中症になっちゃいますよ。」とか
相手の反応によっては、
ニホンゴワカリマスカ?」なんて
無難なことしか言えないと思う。
まぁ〜、現実的な話、取り敢えず、
「海岸に、なんか挙動不審な人がいるんですけど・・・」
って警察に通報して、市民の義務を果たすのが
関の山じゃないかと思うわけ。

それを・・・
「ねぇ、どうして終わってしまったことに
いつまでもこだわっているの?
いつまでそうやっていても
過去は変えられないよ・・・」
って、いきなり正論ブチかましちゃってますからね、
このキツネ!
それも、てめぇ、いきなり上から目線かよって感じで、
おじさん責めちゃってますから、
この獣は。

今時の草食系男子ってさ、打たれ弱いんだよ!
ましてゆとり世代だったら・・・
精神的ダメージで地獄への片道切符
いきなり使っちゃうかも知んないのに・・・

何かそこら辺りに、変な悪意を
つい感じてしまうんですね、わたしは。
それも「正論」ってところが、特にね。
人と話す時に、やたら正論で相手を責める人って
ホントよくいるんだけどさ、
アレってまじでヤバくね。

正論ってさ、文字通り正しいロジックだから、
誰もちゃんと反論できないんだよね、普通。
だから、「正論」振りかざした時点で
「オレの方がぜってぇ正しいに決まってんだかんな!
反論なんか許さねぇーぞぉ、オラオラwww」的な、
相手のどす黒い意思が見え隠れしちゃうんだよね。
もう、そこからは何も議論できないみたいな、
とても威圧的な悪意があるんだよね。

そもそもさ、政治家にしろ、どっかの社長にしろ、
教師にしろ、宗教勧誘員や近所の斉藤さんにしろ・・・
正論ばかり言ってる人ってロクな奴いねぇ〜じゃん!!
※あくまでも、これは個人的な妄想で、
実在する人物とは一切関係ございません!

それが証拠に、ほら!
おじさん、また波数え始めちゃったから。
自分の殻に閉じこもっちゃったからね。
てか、「正論」の後ろ盾を得ちゃって、
何かさ、前よりも張り切っちゃってる!

昔の歌で、
「つまらない日々につまづいた僕は、
星を数える男になぁ〜ったよ♪」
って、聞いたことあるけどさ。
ほら、ここにも一人できちゃったから、
波を数える男が。
端から見たら、これってもはや、
引きこもりアウトドア・バージョンですよ。

これが本当に望むべき結論だったんだろうか?
キツネが、ホントにこれを目論んでいたとしたら・・・
トンでもねぇ〜食わせ者なんじゃないの?

千歩譲って、キツネちゃんにそんなつもりは
全然なかったとしたも・・・、
馬鹿げたことを考える奴ってのは、
たとえ「正論」で説得されたって、
何でも自分の都合のいいように勝手に解釈して
結局、馬鹿なことをやめやしない!!
ってことを示唆しているのではないだろうか?!
・・・イソップ恐るべし!
なぁ〜んてことを無駄に考えて、
無意味に連休を無駄遣いしてしまうわたしです。

まぁ〜、下らないことをダラダラと書いて参りましたが、
結局、わたしが何を言いたいかと申しますと、
解釈なんて、人それぞれ。
そこから得られるものも、人それぞれ。
まっ、それでいいんじゃね。
ってことでした。
・・・お粗末!



―― この作品を、わたしの友人Uちゃんに捧ぐ。

2013年07月15日 11:53